*平成十四年のごあいさつ*

 いやはや、21世紀幕開けの年はなにやら凄まじい一年になってしまいましたね。
 農業分野においては何と言っても狂牛病パニック。とうとう捨て牛まで発生しました。昔、天才バカボンのキャラクターで『ノラウマ』ってのがいましたが、現実に『ノラウシ』まで出てきそうな状況です。そして長ネギ、シイタケなど中国からの激安農産物の輸入。さらに日本向けの有機米まで作られているそうです。
 もはや農家が頑張るだけでは、日本の農業を支えることができない時代に入っているのだと実感します。
 日本が農業をつづけていくためには、消費者にもっと農業についていろいろ知ってもらわなければと思います。そしてもっと『食』について興味を向けてもらいたいと思います。
 そのためには農家=作る人と消費者=食べる人の対話の場をもっと増やしていかなければいけないなと思っています。
 これが今年の第一のテーマ。

 第二のテーマは遺伝子組み換え植物の問題。
 現実にアメリカから遺伝子組み換え食品がどんどん入ってきているとはいえ、今まではそれほどリアルに考えてはいませんでした。
 しかし日本国内で遺伝子組み換えイネが作られ、すでにいつ作付けされてもおかしくないような事態になっていることを考えると、ただ楽観的に事態を見守るというわけにはいかなくなってきました。
 その安全性についてはいろんな見解があり、まだまだ議論はつきないと思います。ただ、今まで農業をつづけてきて言えることは、一度環境中に放たれた植物の営みを、我々人間がコントロールしきれるわけがないってことです。
 そうなる前にアクションを起こさなければと思うわけです。

 三つ目のテーマはもうちょっとのんびりと、ゆっくり、じっくりやっていこうってことです。
 去年はなんだか気張りすぎました。農業なんてのは土とお天道さん相手の商売だから、自分ひとり気張ってもホントにカラ回りするばっかりなんですよね。
 結果が出ないなら出ないでしょうがないですよ。10年、20年といった長いスパンで見なければ結果のでないことなのかもしれません。
 ということで、今年はのんびりいこーっと。温泉にもいこーっと。どっかツーリングいこーっと。

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