*カナダ人農家シュマイザーさんに学ぶ東北の集い*
〜遺伝子組み換え作物の現在
2003年7月7日 新庄市民プラザにて
日本の大豆自給率約5%。日本人の食卓に上る大豆製品の半分は輸入による遺伝子組み換えダイズという現実。そして2001年からは日本国内で実際に作付け実験が行われている。
遺伝子組み換え〈GM〉とは何? 遺伝子組み換え作物を作付けすることの意味とは?
遺伝子組み換えトウモロコシや遺伝子組み換えナタネを作付けするカナダの現状はどうなのか。カナダの農家パーシー・シュマイザーさんを迎えてその現実を伺った。
そこから見えてきたのは食品としての安全性の問題にとどまらず、もっと大きな社会的問題を含んでいるということだった。
全国9ヶ所で開催されたが、消費者団体などが中心になって行われた他会場とは違い、新庄では農家中心の集会となり、約200人参加。
◆はじめに主催者側からの報告
- モンサント社とバイオ作物懇話会による国内での今年の作付け予定20数ヶ所は、ほぼ阻止できた。
- 茨城県谷和原村で作付けされた。(その後、滋賀県と岐阜県でも作付けされた)
遺伝子組み換えダイズ作付け状況
(農水省資料) |
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| 2001年 |
| 山形県東田川郡藤島町 |
10a |
| 新潟県柏崎市 |
10a |
| 新潟県三島郡越路町 |
10a |
| 福井県武生市 |
10a |
| 石川県松任市 |
10a |
| 長野県南安曇郡穂高町 |
10a |
| 福岡県大川市 |
10a |
| 宮崎県宮崎市 |
10a |
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※作付け・その後の経緯
- 山形県藤島町では遺伝子組み換え作物作付けを規制する町の条例を制定。
- 茨城県谷和原村では遺伝子組み換えダイズ作付けに反対する農家グループが開花後のダイズを鋤き込み。
- 茨城で鋤き込み後、岐阜県と滋賀県で遺伝子組み換えダイズが播種される。
- 岐阜県では県の指導により栽培断念。
- 滋賀県では県と町、農協、生産者が話し合った結果、栽培を中止。遺伝子組み換え作物の栽培を規制するガイドラインを、平成15年度中に策定することを決めた。
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| 2002年 |
| 北海道北見市 |
1ha |
| 茨城県筑波郡谷和原村 |
10a |
| 茨城県稲敷郡新利根村 |
10a |
| 福井県福井市 |
10a |
| 滋賀県伊香郡高月町 |
20a |
| 鳥取県気高郡鹿野町 |
10a |
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| 2003年 |
| 茨城県谷和原村 |
20a |
| 滋賀県中主町 |
20a |
| 岐阜県瑞穂町 |
20a |
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◆シュマイザーさんの講演
パーシー・シュマイザーさん(72歳)
カナダで農業を営む。その一方、市長職や州議会の議員、農業委員などの経験を持つ。
98年、氏の農園でモンサント社が特許を持つ、遺伝子組み換えによる除草剤耐性ナタネが栽培されていたとして、モンサント社はシュマイザーさんを特許権侵害で訴えた。
シュマイザーさんは遺伝子組み換えナタネの種子を植えたことはなく、種子汚染が原因だと主張。しかし第一審、控訴審とも敗訴。現在最高裁に持ち込まれている。 |
遺伝子組み換え作物というと、主に食品として安全かどうかという点が話題に上っていたと思う。
しかし、シュマイザーさんの講演で語られたのは知的所有権と農民の権利、組み替え遺伝子による環境汚染、そしてカナダでの遺伝子汚染の現状だった。
講演で語られた遺伝子組み換え作物の問題点
1,種子と農地を支配するモンサント社
- モンサント社の遺伝子組み換えによる除草剤(ラウンドアップ)耐性作物を栽培するには、毎年種子と同社の除草剤をセットで購入しなければならない。
- 種子・農薬代金のほかに、特許遺伝子に対するライセンス使用料も毎年支払わなければならない。
- 自分の農地で生産された種子など、モンサント社からの購入以外の方法で獲た種子を使用すると特許権の侵害となる。
- 除草剤耐性ナタネは除草剤で枯れないため、こぼれ種が芽を出し繁殖する。そうなるとほかの品種を作付けすることは出来ず、モンサントと契約するしか無くなる。
- 同社はアメリカ・カナダで一般の農家に対して500〜600件の訴訟を起こしている。
2,農家の作る権利より知的所有権が優先する
- シュマイザーさんの控訴審判決では「モンサントの種子がどのような方法でその農地に入り込んだかは問題ではない」としている。
- 風や鳥や虫が組み替え遺伝子を持つ花粉を運んできて自然交配し、知らずにその種を使った場合、特許権の侵害になってしまう。
- 農家の意に反して組み替え遺伝子が農地に入り込んでしまったとしても、その生産物は特許を持つ会社の所有物となってしまう。
- 世界で特許の共通化が進められており、日本でも起こりうる。
3,組み替え遺伝子による環境汚染 〜カナダでの現状
- 遺伝子組み換え作物と雑草の交雑などにより、除草剤の効かない「スーパー雑草」が出現する。また、除草剤で枯れないため、作物も雑草化する。カナダでは3年で全域に広がった。
- 遺伝子組み換えナタネによってアブラナ科の植物すべてに遺伝子汚染の危険がある。また、蜂蜜も汚染されるおそれがある。
4,コミュニティの崩壊
- 遺伝子組み換え作物はメーカーの宣伝とは違い、収量が下がり、品質が低下し、農薬使用量が増えた。また毎年種子・農薬代金、ライセンス使用料の支払いなど、経済的負担が増してくる。
- モンサント社は「モンサント・ポリス」という独自の警察組織を設けており、元警官や同じ農家が調査をしてまわる。また、密告が奨励され、密告者は革ジャンがもらえる。
- 隣近所が互いに監視しあい、疑心暗鬼になり、それにより昔ながらの農村のコミュニティは崩壊。長い年月によって培われた既存の農村文化は根こそぎ破壊されてしまった。
遺伝子組み換え作物の流入によって、農家は選択権を失ってしまった。遺伝子汚染は数年ですべてが汚染されてしまう。鳥や虫や、自然の営みを人間が制御することは不可能で、遺伝子組み換え作物と既存の生物との共存はあり得ない。
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シュマイザーさんのナタネ畑は組み替え遺伝子に汚染されてしまい、もうナタネを作ることが出来なくなってしまった。スライドで映し出された最後のナタネ畑、黄色い花が地平線まで一面に広がる様が悲しかった。現在は小麦畑となっている。カナダ政府はナタネ・ダイズの反省をふまえ、遺伝子組み換えコムギの導入には反対の立場をとっているという。
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